イラスト最新技術について

「イラスト(デジタル/生成系を含む)」の最新技術・トレンドについて、2025年時点で注目されているものをいくつか整理して紹介!


最新技術・トレンド

以下は最近の研究・産業・ツールで特にホットな技術や方向性です。

1. 生成AI × イラストの深化・制御性向上

  • 単なる「テキストから画像を生成する」モデルだけでなく、生成過程を段階的に可視化・制御可能にする枠組みが出てきています。たとえば SakugaFlow という研究では、拡散モデル (diffusion) を複数段階に分け、それぞれで構図・デッサン・彩色などを段階的に出力・修正できるようにし、学習者へのフィードバックも組み込む方式を提案しています。
  • キャラクターデザイン段階での生成支援ツールも進化中。たとえば Sketchar という研究では、デザイナーが持つアイディアやテキスト入力をもとにキャラクター画像を生成し、それを元にさらに詰めていくプロトタイピング支援を行うワークフローを提案しています。
  • AIが画像だけでなく他モード(テキスト、音声、スケッチ、動画など)と融合する「マルチモーダル生成」は、表現幅を拡張するキーワードになっています。

2. ツール/ソフトウェアのAI統合強化

  • Adobe は Illustrator / Photoshop に生成AI機能を組み込むアップデートを実施中。たとえば Firefly モデルを使ってシェイプへの詳細な補填 (Generative Shape Fill)、パターン化 (Text to Pattern)、スタイル参照 (Style Reference) 等の機能を加えるなど。
  • デザインプラットフォーム Kittl は、ベクター・ラスターの融合、AI生成要素を取り込んだデザインテンプレート、共同編集機能などを統合しており、クリエイターのワークフローを大幅に効率化する方向で使われ始めています。
  • デジタルイラスト分野では、3D表現と2D(フラット)表現をミックスする手法がトレンド化。立体感や奥行きを持たせつつ、手描き風のタッチを残すスタイルが人気です。
  • イラストを静止画だけでなく、動かす(アニメーション化する)機能にも進化があります。AIを使って線画やイラストに動きを与える技術、ループアニメーション、マイクロアニメーションなどが UX やウェブ表現で重視されてます。
    • 特に「意図通りに動かす」ための制御性を高めた AI アニメ生成ツール(Kling AI 2.0 など)も登場してきています。
    • また、Sketch Animation(スケッチをアニメーション化する研究)についての総論整理レポートも最近公開されており、線画を元に動きを付与する手法の最前線がまとめられています。

3. 表現スタイル・アート的トレンド

  • Post-AI Authenticity(ポストAI時代の「らしさ」重視)
    生成AIが普及する中で、手描き感・不完全さ・「人間らしさ」の表現が逆に価値を持つという動き。ラフ線、テクスチャ感、コラージュ風、意図的な歪みなどが好まれるようになるという指摘があります。
  • ローカル性・アイデンティティ表現
    地域文化や個人のアイデンティティを反映したアートへの関心が高まっています。グローバル/量産された表現ではなく、特有性・オリジナリティを重視する流れ。
  • ミニマル/大胆な形・色使い
    抽象的・幾何学的表現、極端な色使い(高彩度、コントラスト強調)、単純化された形態などがモダンな印象を与えるスタイルとして注目されています。
  • 3Dとフラットデザインの融合
    完全なリアル3Dではなく、3D要素(立体物、陰影、質感)をフラットデザインに溶かし込む混合表現がよく見られます。背景やオブジェクトに立体性を与えつつ、キャラなど主要部分は2D調のタッチを残す手法など。
  • マイクロアニメーション・ループ表現
    SNSやWeb、UIで「ちょっと動くイラスト」が効果的に使われており、GIF ループやモーション付き素材の需要が高まっています。

4. 著作権・倫理・業界対応

  • 生成AIモデルが学習に使うデータソースと著作権の関係が大きな論点になっています。著作物を無断で学習データに使っていいか、誰が生成物の権利を持つか、クリエイターの権利保護などが今後の法律・規約で決まっていく重要テーマ。
  • 一部のイラスト・デザインツール開発者/プラットフォーム運営者は、ユーザーの作品を AI の学習に使われないようにする「Do Not Train(学習除外)」設定や、生成物に「AI 生成である」ことを明示するクレデンシャル(メタデータ)付与などの対応を進めています。
  • また、イラストコンペでは「AI生成作品は不可」とするルールを設けるケースもあります。業界側での線引きが模索されています。
  • 一方で、業務利用(広告、出版、ゲーム)において AI 補助を積極活用する動きも強まりつつあり、コスト・速度効率性を求める現場では導入検討が進んでいます。

今後の注目ポイント・課題

これらトレンドを踏まえて、今後注目すべき技術/テーマは次のようなものになると考えられます:

  • 生成過程の可視化・段階制御性:最初に紹介した SakugaFlow のように、アーティストが各過程で操作・調整できる生成モデルが主流化する可能性。
  • リアルタイム・インタラクティブ生成:ユーザー操作(筆圧、スケッチ、変形)に応じて即座に反応する AI が、創作支援ツールとして強みを持つ。
  • マルチモーダル・クロスメディア融合:イラストだけでなく、音声、動画、ストーリー構造との統合表現が進む。
  • 生成 AI × VR / AR / 空間表現:空間内で変化・移動するイラスト表現、拡張現実での重畳表現など、平面外展開。
  • 倫理・権利インフラ整備:AI 生成物の著作権管理、ライセンス体系の整備、学習データ管理の透明化などが不可欠になる。
  • 表現価値の再定義:技術的に「できること」が増える中で、「人間らしい」/「個性ある表現」が差別化のキーになっていく。

技術的にはAIにはもうスピードは敵いません。絵のタッチを表現するのも見分けがつかなくなりました。AIに対抗するには「人間らしさ」がキーワードになるのではないかと思います。また、掘り下げていきたいと思います。