四コマ漫画『まだまだ人間・・』

なぜ“人間が描く方がいい”のか

1) 意図・感情を汲み取る力は人間にしかない

絵コンテは、ただ絵を並べる作業ではなく
演出意図・感情・ニュアンスを伝える設計図です。

  • キャラクターが何を感じているのか
  • 監督が何を表現したいのか
  • シーンの空気感はどんなものか

これらはシナリオ・演出意図を読み解き、
作り手全体のゴールに合わせて再構築する必要があります。

AIは提示された情報を“字面”で処理できますが、
読後感や感情、言外のニュアンスまで汲むことができません。


2) 演出・カメラワーク・構図思考は創造と判断が必要

絵コンテは

「どの構図で、どう画面を切り、どう見せるか」を決める仕事
であり、これは演出家・コンテマンの思考が必要です。

  • 観客に何を感じてほしいか
  • どこに緊張を生むか
  • 間(ま)をどう作るか

こうしたセンシングや判断は、
作品全体の目的を踏まえた上での意図的なクリエイションであり、
ランダム生成のAIとは根本的に異なります。


3) 反復による調整・意思疎通が前提

制作現場では

  • 監督コメント
  • 企画意図
  • 現場の事情

に合わせて、絵コンテを何度も連続的に改善していきます。
これはコミュニケーションを伴う作業であり、
人が意思を理解し、咀嚼し、反映する必要があります。

AIでは
「なぜそうしたか」「別案をひねる」
といった思考の文脈が持てません。


4) “読み手が理解しやすい”絵にする技術

絵コンテは芸術作品ではなく
作業指示書です。

  • カメラ
  • アクション
  • 動線
  • 画面内の情報整理

を、短時間で読み手(アニメーター、撮影、CG、音響)が
理解できるように描く技術が求められます。

AIは見栄えの良い絵を出せても、
**正しく情報を整理した「伝わる絵」**を描けません。


5) トラブル・制約に合わせた“工夫”が必要

制作では次のような制約がつきものです:

  • スケジュール
  • 予算
  • レイアウト制限
  • キャラの得意・不得意
  • カット数バランス

絵コンテはこれらを考慮して
最大効果を得るよう調整する仕事です。
AIはその調整ができません。


6) それでもAIの活用は“補助”に向いている

AIは

  • ラフ案の発想
  • 素材生成
  • 色味の補助
  • 参考イメージ作り

など、
“アイデアの補助”としては有用です。

しかし作品の核となる

「演出意図を持った設計」
は人間が担うべき領域です。